おもしろいかな算数(03)素数②(セミナー通信 2020年06月号)

 セミナー通信2020年06月号 記事

第3回 素数② 前回の続きです

<未解決問題>
 古今東西最大の数学者であるガウス(1777~1855)は、かつてこう言いました。「数学は科学の女王であり,整数論は数学の女王である」

 数学の一分野である「整数論」には,問題の意味は小学生にも理解できるけれど,いまだ誰にも解決されていないといったタイプの未解決問題がたくさんあり,最近証明されて話題になった「フェルマーの定理」などもその1つでした。素数に関係する有名な未解決問題には,「双子素数の問題」や,「ゴールドバッハの予想」などがあります。

 素数なんてつまらないかもしれませんが、実は生活に密接に関係しています。

 「ベリサイン」というインターネット通信関連の会社の金庫に大切に保管されているのが膨大な素数表です。この素数表にある大きな素数を使ってカードの暗証番号などを暗号化しているのです。(大きな数の因数分解は大変難しく、大きな素数を必要とします。)素数を使うことで公開鍵暗号方式(RSA)という暗号化の仕組みが開発されました。素数は現代の生活になくてはならないアイテム(道具)となっています。

 ところで、数学者が素数の仕組みを証明してしまうと、この暗号方式では危険なのではないかと心配する人もいると思います。が、暗号を解くことはできるようになっても膨大な時間がかかります。ですから、素数の仕組みが分かってもこの暗号方式は、かなり安全だと考えられます。

 ちなみに、アメリカの国防総省では、「リーマン予想(素数についての予想 いまだ未解決)を証明した」という論文が発表されると、本当に証明できているかどうかチェックする部署があるそうです。でもそのチェックにも数年かかります。

<双子素数の問題>
 素数には,(3,5),(11,13)のように,1つおきに並ぶペアになっているものがあって,これらを「双子素数」といいます。(ちなみに、3と7のように差が4である素数の組を「いとこ素数」 、5と11のように差が6である素数の組をセクシー(sixから?)素数 といいます)

 100以下の双子素数は以下の7ペアです。

(3,5) (5,7) (11,13) (17,19) (29,31) (41,43) (71,73) 

 このような「双子素数」は『無限に多く存在する』らしいのですが、いまだに証明されていません。なお,2020年5月の時点で知られている最大の双子素数は388,342桁の2996863034895× 21290000 ± 1です。

<ゴールドバッハの予想>
  4=2+2,6=3+3,8=3+5,10=3+7,12=5+7・・・のように,「4以上のすべての偶数は2つの素数の和で表される」という予想です。これもほとんどの数学者が正しいと信じていますが,いまだ未証明。

 

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