おもしろいかな算数(13) 素数ゼミ(セミナー通信 2021年08月号)

 おもしろいかな算数(13) 素数ゼミ

 今年はニューヨークなどでセミが大発生してニュースになっています。このセミは17年ごとに大発生するので、周期ゼミ、特に素数ゼミと呼ばれています。アメリカ大陸の素数ゼミはもう1種類13年周期で発生するセミがいます。

 なぜこんな長い間地中に潜って、きっちり13年や17年ごとに地上に出てくるのか不思議ですね。この不思議について1996年、日本の吉村仁さんが論文を発表し、2005年に「素数ゼミの謎」という本を出版しています。

 今年の「日経サイエンス8月号」でもニュース解説で取り上げられています。

 素数ゼミはアメリカ全土で一斉に羽化するわけではなく、特定の地域で周期的に羽化します。発生する年が同じものはブルードという単位で区別されます。今年はワシントンやシンシナティで現れるグループが羽化する年です。アメリカのブルードは17年ゼミでは13種類、13年ゼミでは3種類です。今年はニューヨークという都会で発生する年なので大ニュースとなっていますが、毎年どこかの地域で発生しています。

 吉村先生は、「なぜ17年もの間地中で過ごしているのか」という疑問について次のように説明されています。

 ① セミの幼虫は天敵が少ない地中で成長するという道を選択したものの、地中の根の導管からはあまり養分を吸収することができないため、ゆっくり成長する。

*導管とは地中の水とそれに溶けている養分を吸収する管なので、養分は多くない。(中学で学習します)

 ② セミは2億年ほど前から地球上にいた。それから何度かの氷河時代を経験し絶滅の危機を迎えるが、氷河時代でも比較的気温が下がらなかった「レフュージア」という避難所のようないくつかの場所で生き延びることができた。そのため、交尾相手を見つけるために、一定の地域に定住するようになった

 ③ 羽化の時期がちがってくると、多数のセミが羽化する年でないと交尾相手が見つからないため、多数派の年のセミだけが生き延びるようになった。このため、十分な大きさになって羽化することよりもきちんとした周期で一斉に羽化することになった。

 *一斉に孵化したり、群れを作ったりして天敵から自分が捕食される可能性を低くしようとすることを希釈効果といいます。

 以上が「長い年月をかけて成長する」「特定の地域で繁殖する」「周期的に羽化する」という疑問の答えとなっています。

 ではなぜ13年と17年なのかという疑問についてですが、もともと12年ゼミ、や18年ゼミなどいろいろな周期で羽化するセミがいたのだそうです。違う周期のセミの羽化が重なると、交雑が起きます。交雑すると、もとの周期とちがうセミが生まれます。12年ゼミと18年ゼミがが交雑して16年ゼミが生まれたとすると、羽化したときに交尾相手がいないので(その地域には特定の周期のセミしかいない)、交尾することなく死んでしまいます。つまり、異なる周期のセミとなるべく同時に羽化しないほうがいいわけです。

 そこで素数が登場。

 素数はほかの数との最小公倍数がとても大きな数になるので、同じ年に羽化する周期が大きくなります。

 たとえば、15年周期と18年周期のセミが同時に羽化する周期は90年ですが、17年ゼミと18年ゼミでは306年となります。

 ではもっと大きな素数のほうがいいのではないかと思いますが、残念ながら土の中で過ごすのは18年が限度なのだそうです。

 こんなふうにアメリカ大陸のセミは氷河時代を生き延び、だんだんと素数ゼミだけが生き残ってきたということです。 日本のセミは卵が産み付けられてから約1年かけて孵化し、土の中へもぐって木の根から栄養を取り込みながら数年で羽化します。

 日本のセミの幼虫期はツクツクホウシが1~2年アブラゼミ、ミンミンゼミ、ミイミイゼミが2~4年、クマゼミは2~5年です。孵化するまでの期間がまちまちなのは、栄養が十分ならすぐに成虫となり、栄養が少なければゆっくりと成長するため孵化するまでに時間がかかるからです。成虫になってからは1か月ほど生きるそうです。

 *2019年には岡山県笠岡市の笠岡高校3年生植松蒼さんが独自の調査手法によりアブラゼミが最長32日間、ツクツクボウシが最長26日間、クマゼミが最長15日間生存したことを確認し発表して話題となりました。頑張ってるね、日本の高校生。

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